10/01の朝、悪名高いFake Insiderのextas1sの投稿を発端に、海外を中心にGame Passに関する大きなニュースが今夜アナウンスされるという噂がにわかに広がっていた。
当初は既にベータの表記が消えたとの報告が見受けられたクラウドゲーミングの正式リリースに限った話だと思っていたのだが、RedditかReseteraの誰かの信憑性の薄そうな投稿として、プランの大幅刷新とUltimateの$25への値上げ、およびプラン名称をPS Plusのパクリに変更するなどという内容が広まっており、Xboxへのネガティブな話題に限って決して疑いを向けない人々はその時点で既にDoom and Gloomを引き起こしていた。
しかし自分はあまりにも噓くさい「プラン名称の変更」部分を根拠に、この噂はコンソールウォーリアーの妄想であると結論付けて無視していたのだが23時頃、Xを開くと既に全てが真実となっていた。それどころか、噂を超えて$30に大幅値上げしていた。
extas1sは自身のXにてポジティブなニュースであるとか何とか言っていたようだが、ご覧の有様である。
3大プラン+1
ご存知の通り、今年は例年通りの値上げに加えて、Xbox Game Passの各種プラン内容が刷新されることとなった。
ちなみに略さずXbox Game Passと書いているのは、今回の変更に伴い公式サイトなどでこれまでピックアップされていたPC Game Passの存在が隠されるようになり、Xbox Wireでも「Xbox Game Pass がアップデート: Essential、Premium、Ultimate プランのご紹介」として、一切PC Game Passに触れなかったためである。公式のプラン一覧を見ればMSがPCオンリープランをやめたがっているのは一目瞭然だ。
正直、先述のWireの記事を見た方が手っ取り早いと思うが、ここでも新しくなった各種プランを紹介しておこう…
Xbox Game Pass Essential (旧Core)
Xbox Live GoldメンバーシップからGame Pass Coreへと変わり、そして今回PS Plusの名称を丸パクリ。
これまでのCoreの厳選されたラインナップの提供や、コンソールでのオンラインプレイの最低要件なのは変わらないが、収録タイトルはPCでもプレイ可能となり、また所有済みタイトルも含めクラウドゲーミングにも対応する。更に、最近増えている基本無料タイトルの特典系はこのプランにも含まれるようになった。
ただし、日本では未成年が(Xboxコンソールにおいて)オンラインプレイする余地が消えないように (他プランは18禁)、CERO:Zタイトル等が利用できない措置が取られているので、公式のタイトルリストの通りゲーム数はかなり少な… アレ? 『Gears 5』や『Warhammer 40,000: Darktide』は入ってないか??? 謎だ…
そして今回の刷新により各種プラン内容としてMicrosoft Rewardsプログラムでのポイント還元プログラムが明示されるようになったのだが、Essentialでは年間最大25,000ポイントとなる。Xboxギフトカードは250円=1775ポイント,600円=3680ポイント,1200円=7360ポイントなので、頑張れば3800円分くらい還元されるだろう。
このような変更が加えられ、日本では月額850円/3か月2150円と値上げされたのだが、これまでの値段が月額842円/3か月2138円なので実は値上げの影響をほぼ受けておらず、実質値上げ無し。12か月分は6500円でAmazon等で販売されているが、2025/10/06現在まだ今回の変更が反映されていない(ありがたや)のでそちらの値上げに関しては不明
Xbox Game Pass Premium (旧Standard)
デイワンをオミットした醍醐味排除のStandardプランはPremiumに改名。UltimateはPS Plus Premium(最上位プラン)よりも格上だと示すためにこうしたのだろう。
“Xboxが今後発売する新作タイトル”、すなわちファーストパーティータイトルは発売から1年以内に追加され、サードパーティータイトルも同様のスパンで追加されるだろう。ただし、『Call of Duty』は除くと明示されている。
こちらもEssential同様にクラウドゲーミングに対応し、基本無料タイトルの特典ももちろん含まれる。リワードは年間最大50,000ポイントなのでポイ活をする気があれば7-8000円分は還元されるだろう。
昨年開始したばかりのStandardは、日本では月額1100円から1300円への値上げ。ここまでは別に大幅に値上げをしていない。問題なのは…
Xbox Game Pass Ultimate
最上位かつ最も人気のプランだが、この度海外では$20/moから$30へ50%の値上げ、日本では月額1450円から2750円と2倍近く値上げする異例にも程がある事態となり、これが後述する炎上の引き金となる。
今回の大幅値上げによりいくつか利点が加えられたが、それが大幅値上げを正当化するかは人によるだろう。
まず、デイワンは年間で最低75本以上追加されると保証され、今までより確かに増加している。小規模なインディーとOutright Gamesなどの版権モノ(例:パウパトロール)などで水増しが図られ、大作AAAが大量に追加されるわけではないのは明らかだが… 質より量になってきてないか?
更にUbisoft+ Classicが追加されたが、Game Pass 2025.10を見れば日本では案の定おま国だらけなのが一目瞭然であり、そもそも元からUbiタイトルは数多く追加されていたので、90%OFFセール常連の旧作が入ったところであまりメリットを感じない人が大多数だろう。
それに加えて11/18より、どういうわけか『フォートナイトクルー』が追加される。月1320円で複数のバトルパスや1000 V-Bucks、限定スキンなどが手に入る、『世界を救え』でV-Bucks稼いでいた人に対抗するかのようなフォートナイトのサブスクであり、元より加入していた人は今回の値上げの影響を受けず、むしろ恩恵を受ける側となるが、興味のない人にとっては抱き合わせ商法以外の何物でもない。
クラウドゲーミングは待機列の優先(PremiumでもEssentialよりは優先されるが)やビットレート向上、一部タイトルでの1440p解像度対応など強化された。実際にプレイしてみたが、よりネイティブ環境に近づいていることがしっかり感じ取れ、アクションゲームも以前より快適に遊べるのは間違いない。
リワードは年間最大100000ポイント獲得可能となり、有限なる時間をゲームに捧げれば毎年15000円以上も稼げるだろう。Ultimateは大幅値上げを受けたので、これを活用しない手はないと誰もが思うことだろう。
そしてもちろんEA Playは健在である。ここまでの値上げをしたのだから、サウジ買収による終了はない…はず
PC Game Pass
前述の通り存在が伏せられたPCオンリープランは、今のところは健在である。しかし、いずれこのプランもかつての”for Console”と同様の道を辿るに違いない (実は今でも”for Console”を継続している人もいるようだが…)
プラン内容に変更はなく、引き続きCoD含めデイワンタイトルは追加され、基本無料タイトル特典やEA Playもそのまま維持、リワードは年間最大50000ポイントとPremiumと同様に獲得が可能。
月額990円から1550円へとこちらも中々の値上げを受けるが、Ultimateと比べれば遥かにマシであり、個人的には最もお得な選択肢であると思うので、来年にも廃止されるのが濃厚だ
比較テーブル
ゲーム数はxbox.com/ja-JPで確認した10/06時点での数値なので、別エディションなども含まれる
| Game Pass | Essential | Premium | PC | Ultimate |
|---|---|---|---|---|
| 月額 | ¥850 | ¥1300 | ¥1550 | ¥2750 |
| CS Games | 51 | 339 | - | 500 |
| PC Games | 31 | 186 | 452 | 489 |
| Cloud Games | 46 | 308 | - | 396 |
| Cloud | 〇 | 優先枠 | - | 1440p+最優先 |
| Day One | - | -* | 〇 | 〇 |
| ゲーム内特典 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| EA Play | - | - | 〇 | 〇 |
| Ubisoft+ Classic | - | -* | -* | 〇 |
| Fortnite Crew | - | - | - | 〇 |
| 年間リワード | 25000 | 50000 | 50000 | 100000 |
*Premiumは『Call of Duty』を除きXboxタイトルは1年以内に追加。
現時点において今回の変更前に追加されたUbisoftタイトルは引き続きPremiumやPC Game Passにも含まれている。
値上げしすぎ
PCでは今のところは1550円で『CoD:BO7』をデイワンで遊べるが、コンソールは2750円、北米では$30を毎月支払わなければならない。(実はPC Game PassでもPlay Anywhereタイトルに限りコンソールでプレイできるという投稿があったがこれは明らかに正規の方法ではなく塞がれるだろうし、それではオンラインプレイはできない) これはコンソールユーザーへの搾取がさらに強まっていると捉えられる。$30は決して安くなく、多くの人は2-3か月おきにフルプライスのタイトルを$70で買い、オンラインプレイの為にEssentialに入る方を選ぶだろう。もしかしたらMSはCoDやサードソフトの売上低下を危惧し、1本$70-80のソフトを都度買う従来通りのスタイルにコンソール勢を戻させようとしているのかもしれない。もしそうだとしたら”ゲームのサブスク”は結局失敗だったと言わざるを得ない
更に、これまでDLCやゲーム内通貨に適用されていた割引は、リワードに置き換えられた。挙句の果ての改悪とみる見方が強いが…
対象の Game Pass ライブラリのゲームで、最大30%分の割引を獲得。(Ultimate)
ストアでゲームやアドオンを購入すると、ポイントを通常の4倍獲得。(Essentialを除く)
対象の Game Pass ライブラリのゲームおよびアドオンの購入で、最大10%分のポイント還元。(Essentialを除く)
Play to Earnで獲得できるリワードを最大限に取り組めば、値上げ分は実質的に還元されるのだが(ただしGame Passの直接引き換えはリワードから削除された)、俗に言う”ポイ活”目的でゲームを日課とするのは本来の娯楽の趣旨からかけ離れており、ソシャゲのデイリーやライブサービスゲームのバトルパスなどと重なる、「娯楽の義務化」を加速させている傾向にある。
ゲームが作業・労働へと成り代わり、プレイヤーの時間を束縛する。大幅値上げの影響で、今まで”とりあえず”で加入できていたプレイヤーは少しでも元を取るためにと半ば強制的にゲームに取り組むこととなる。外的な動機づけでゲームを楽しめるのだろうか?
少なくとも、これでXboxは他のプラットフォームと比べて見せかけ上はプレイ時間などの平均値がすこぶる高くなり、MSはそれをアピールすることだろう。
今回の変更は当然、途轍もなく燃え上がり、これまでのレイオフや閉鎖の比ではない位に、あのXbox OneのDRM問題に匹敵する程炎上している。しかし、既に変更が適用されているため今回は撤回されることは無いのは確実だ。現段階においてはまだ多くの国でで現行価格のままコードが売っていて買いだめできるにもかかわらず、愛想が尽きてキャンセルする人が多発。ブランドの信頼を大きく傷つけ、Best value in gamingの偉大なる称号は汚名へ成り下がった。
今では次世代コンソールは中止で今後はソフトメーカーだとか、どんどん悪い噂が押し寄せてくる。誰もが疑いの目を捨てNo-Brainerに飛びつき、信じたいものを信じて鬱憤を晴らすのだ。この時点で、MS自体がEvil corporationとして共通の絶対的悪と認知され、サンドバッグとして機能している。Xboxのブランドはもうじき終わりだろうな
これらの現状を作り出したのは、もちろん… Series Sのせいだよ全部 /s
Windows Centralが「MSがCoDをゲームパスに入れたせいで3億ドルの売上を失った可能性」とする記事や、値上げ理由の考察記事を出しているのだが、それを読めば、なぜレイオフや閉鎖が繰り返され、主要タイトルはPSに移植され、そして大惨事に陥っていったのかがなんとなく想像がつくことだろう。
