UPDATE 2024/06/02: “AAA INDUSTRY” 撤回の界
先月のMSの大規模レイオフに続き、SIEやEAもレイオフを発表した。ゲーム業界ではレイオフの波が開発者らを襲っている。レイオフをまとめたGame Industry Layoffsによると、被害者数は今年だけで既に7800人以上に及ぶ。2023年は約10500人だそうなので、2/29時点でこの数字は異常である。
レイオフは悪であり、擁護することはできないが、ビッグテックでも厳しい状況なのは理解できる。なぜこんなにもこれに至るまでには、COVIDによる巣ごもり需要の終わりやインフレ、そして開発費の高騰と開発期間の長期化などが挙げられる。コスト軽減が目的なので、一部の職をAIに置き換えようとしている企業もあるだろう。
各企業はCOVID後の世界を見通せなかった。ロックダウンにより、家でプレイステーションをしてたあの時はゲーム業界はバブル状態だっただろう。その頃に多くの企業は急成長し、雇用を拡大したに違いない。
なお日本では解雇は他国と比べ困難なので、海外に比べれば影響はかなり少ない。
高騰する開発費
現代のゲームは開発費も製作期間も上がり続けている。たとえば、鉄拳8の開発費は90年代のタイトルの10倍であり、鉄拳7の2~3倍であるとのこと。(ソース) 鉄拳8は200万本と大ヒットしているが、そうでないゲームは沢山ある。ハードのeraが変わるたびに、クオリティと比例して開発コスト、開発期間、人件費も向上していく。
多くの日本企業では海外企業より開発費は遥かに少ないだろう。そして人件費も日本は安価である。日本企業は安泰、とは言えないが海外よりは安定しているといえる。
AAAゲームはもはやギャンブルだ。数百億円を投じた大作が失敗すれば、企業には大きな傷を与えることになるだろう。下手したら、1本で会社が傾くかもしれない。こうして、挑戦的な大作は消滅していく。
今後大企業は、大作主義から脱却し、中小規模のゲームに重点を置くべきかもしれない。インディータイトルがAAAの何倍も売れる時代、美麗さではなく面白さを最優先するのが大事だろう。予算を減らし、グラフィックへのリソースを減らし、制限された環境の中で、アイデアで勝負するゲームが増えれば、売上も増えてレイオフも減る気がする…