
再びDoom and Gloomな絶望的出来事がXboxに襲い掛かった。少し前から7月に何度目かのレイオフがあるという噂や報道が広まっており、変な憶測も出回っていたのだが、やはり悪い噂は真実となりそれに連なる悪意の連鎖も起きてしまった。
愚行に走ったMicrosoftは従業員の4%にあたる9100人規模のレイオフを実施し、やはりMicrosoft Gaming、すなわちXboxも影響を受けることとなった。詳細は信頼できるThe VergeやWindows Centralを参照。
自分のような層とは全く縁のない、キャンディークラッシュなどのカジュアルゲームで知られるKingでは従業員の10%程度にあたる200人が解雇され、(そんなに社員いたのか…) ForzaのMotorsportsの方で知られるTurn 10ではなんと従業員の50%が解雇されるとのこと。数年前から既にそうなってはいたが、これで完全にHorizonがForzaシリーズの中枢になったと言えるだろう…
ZeniMaxやらのマーケティングチームや何か重要そうなユーザーリサーチチーム、 更にはFamily and child safetyの責任者でさえ、どういうわけかレイオフの対象になったという。
ActivisionのいくつかのCoD鉱山やBlizzardもレイオフの影響を受け、それに伴い明らかにうまくいってないスマホゲーWarcraft Rumbleの新規コンテンツの開発終了が発表された。
Neverwild
今回のレイオフはユーザーにも実害を与えた。数年前に発表されてから長らく期待されていた2タイトルと、少なくとも1本の未発表タイトルが今回の一環としてキャンセルとなり、世界中のユーザーを失望させた。
レア社が2019年に発表したEverwildは、2020年以降全く音沙汰が無く開発地獄に陥っていたのは間違いなかったが、今年の2月に実施されたXboxeraのインタビューにおいて、Phil SpencerはIt’s nice to see the team with Everwild and the progress that they’re making.などと発言していた… のにも拘らず、今回の一件で”they’re not making”となり、以前からミーム的に海外フォーラムでネタにされていたNeverwildは現実のものになってしまった。
また、VGCの報道によると、バンジョーとカズーイの大冒険などでディレクターを務め、2021年に再開発がされて以降Everwildの指揮を取っていたGregg Maylesらが同社を去るという。こちらはレイオフでは無さそうだが、今後のレア社は成功したSea of Theives以外の新たな挑戦から遠ざかるのではないかと悲観的になりつつある。
ESOでおなじみ、Zenimax Online Studiosの未発表タイトルも中止になったと報道された。“Blackbird”というコードネームで開発されていたMMORPGであり、Jason Schreierによると2018年から開発が進められており、また過去に噂になっていた新規IP”Project Kestrel”と同一のタイトルだと判明した。
Project Kestrelは数年前に映画『フィフス・エレメント』のような都市が舞台のSF MMOとして噂になっていて非常に興味がそそられただけに、個人的にはEverwildや下記のタイトルよりもショックを受けている。復活のチャンスが無いのなら、少なくとも誰かが開発中のビルドをリークしてくれることを祈る。本当に悲しい
Zenimax Onlineの社長も18年以上同社を率いた後に、今月退社(≠解雇)すると発表した。
そしてパーフェクトダークのリブート作も、衝撃の開発中止となった。それに伴い、本作のために設立されたスタジオであるThe Initiativeは閉鎖となった。
今作もまた過去の色んな報道や噂から察するに開発が難航していたのは明らかだが、去年のショーケースでは普通に面白そうなゲームプレイが公開されていただけに、今回の発表は衝撃的かつ悲惨である。
Crystal Dynamicsとの共同開発だったが、それでも上手くいかなかったようだ。それとも、Everwildのインタビューの文言といい開発が順調に進んでいたのにもかかわらず、リリースに漕ぎつくまでの遅さから中止が言い渡されたのだろうか?
Everyone disliked that.
記事によると、今年のショーケースに登場したファーストタイトルは”Safe”であり、State of Decay 3も開発元Undead Labsがレイオフの影響を受けたが中止にはならないとのこと。
また、直近のAMDとの発表後も「ハードウェアは死んだ」などと言われ続け、“出ない扱い”を悪意なき大勢によって受けていた次世代機の計画は影響を受けていないが、誰もがそれを噓だと主張するだろう。
インターネットでは今回の件を受けPhil Spencerを糾弾する声で持ち切りとなったが、叩いている大勢はSatya NadellaやAmy Hoodといった、とりわけレイオフを先導しているであろう上層の存在に怒りの矛先が向いていない。これはCEOとして長らく”Xboxの顔”を務めたことが主因だろうが、Satya NadellaはFigureheadとしてサンドバッグのように攻撃を受け続けるPhil Spencerを見てほくそ笑んでるに違いない。
Phil Spencerについては退任するという願望ありきの噂も流れていたようだが、即座に否定され、インターネットの解雇を望む大勢はそれを非難した。
念のため言っておくが、Phil Spencerを擁護したいわけでは無く、ただSatya Nadellaらも同様に非難されるべきというだけ
小島監督のODがXboxパブリッシングから離れるだとか、Arkane AustinのBladeが中止になるなどの”噂”も広まったが、これは単にXboxの惨状を見ると心地良いと感じる側の人々からの願望・噓・捏造であった可能性が現時点では高いと言える。しかし、誰もが全ての悲報を信じ込むのは目に見えている。
そしてここぞとばかりに出てくるコンソールウォーリアー達によるご意見番ぶったMS批判がSNSで氾濫していることだろう。自分はSNSからは暫し離れるつもりなので見て泣き言発さずに済むが、レイオフをしない他社を称賛かつ叩き棒にしMS批判に誘導するポストなどがすでに数多く見受けられているに違いない。そしてもちろん、こういうポストはMS以外のレイオフの時には見受けられない。
SNS以外でも、某eraとかはもう反MSの雰囲気を隠そうともしなくなっている。ある人はゲームパスをキャンセルし、MSタイトルを不買すると宣言し実質的に”さらなる人員削減=叩く機会”を歓迎したような格好だ。
世間においてWindowsのアプグレなどで元よりMSは嫌われ側の企業であるが、イスラエル関連の政治姿勢やAIの重視とそれに伴う、利益率向上かつAIへの置き換えのための度重なるレイオフで、反AIで無くともMSへの抵抗感が大衆に根付いているのではないだろうか。
この状態が続くうちに次世代Xboxが出ても、この状況ではSatya Nadellaの髪の本数くらいしか売れないかもしれない。
人の噂も七十五日というが、未だに語られるGames for Windows Liveの終焉やScaleboundやFable Legendsの中止などと同様に、キャンセルが起きてしまった今回の大規模レイオフは長く語り継がれることになるだろう。
暗闇に映るのは絶望のみ